十二月 大晦日 【大晦日】

大晦日(除夜の鐘)イメージ
  • 報恩感謝
  • 厄払い

一年の節目に歳神様を迎える静かなる儀式

大晦日は、来る年の福徳や五穀豊穣を司る「歳神様」を、清らかな心でお迎えするための一年の節目となる日です。その呼び名は、毎月の最終日を指す「晦日(みそか)」に、年の締めくくりを意味する「大」を冠したことに由来し、月が隠れる「晦(つごもり)」という言葉にも通じています。

この日は心穏やかに神様をお迎えするため、慎むべきとされる事柄がいくつかあります。例えば、火を長時間使う煮炊きは、火の神様への無礼とされるだけでなく、出る灰汁(あく)が「悪」を連想させ、縁起が良くないとされてきました。また、三十一日に慌てて餅をつく「一夜餅」や正月飾りを出す「一夜飾り」、さらに「二重苦」に通じる二十九日の準備も、避けるべきといわれています。

深夜、新しい年の幕開けを告げるのは「除夜の鐘」の響きです。正式には「梵鐘(ぼんしょう)」と呼ばれる鐘の音には、人々の苦しみや迷いを断ち切る力があると信じられてきました。百八つの鐘の音は「煩悩(ぼんのう)」を取り除くためのもので、特にお金や物を際限なく求める「貪欲(どんよく)」、抑えきれない怒りの感情である「瞋恚(しんい)」、そして妬みなどの「愚痴(ぐち)」という「三毒の煩悩」を一つずつ消し去り、心身を清める意味があります。静寂の中で除夜の鐘の音に耳を傾けながら一年のけがれを落とし、清らかな心で新年を迎えましょう。

「大晦日」の行事食

大晦日の行事食「年越しそば」

年越し蕎麦 【としこしそば】

大晦日に食べる「年越し蕎麦」には、先人たちの願いが幾重にも込められています。蕎麦は他の麺類に比べて切れやすいことから「今年一年の苦労や厄を断ち切る」という意味がある一方、その細く長い形状から、延命長寿や家運が長く続くことを願う縁起物とされてきました。また、かつて金銀細工師が散らばった金粉を集めるのに蕎麦粉の団子を使ったという逸話から、金運を呼び込む商売繁盛の象徴としても知られています。

 北海道や東北地方などでは、この蕎麦とともに、旧暦時代の名残として大晦日におせち料理を囲み、一年の感謝と新年への期待を分かち合う姿も見られます。

大晦日の行事食「にしんそば」

鰊蕎麦 【にしんそば】

近畿地方、特に京都や大阪で年越しそばの定番として食べられているのが、温かいそばに甘辛く炊いた身欠きにしんを載せた「にしんそば」。海から遠い盆地の京都において、江戸時代に北海道から北前船で運ばれてきた保存食「身欠きにしん」は、貴重なタンパク源として重宝されました。これが明治初期にそばと合わさり、定着したといわれています。にしんは「二親(にしん)」からたくさんの卵(数の子)が生まれることから、子孫繁栄や一家の繁栄を願う縁起物としての意味も込められています。

 また全国には、岩手のわんこそばや新潟のへぎそば、福井の越前おろしそば、島根の割子そば、そして沖縄そばなど、その土地ならではの豊かな「ご当地そば」で年を越す習慣も根付いています。