
行事食とは
四季折々の行事や、お祝いの日、人生の節目に並ぶ特別な料理のことを「行事食」といいます。
行事食は、単なる食事ではなく、日本の四季や文化、人々のさまざまな願いが込められた大切な食の伝統です。例えば、新年を祝うおせち料理には一年の健康と豊作への祈り、ひな祭りのちらし寿司やはまぐりのお吸い物には女の子の健やかな成長への願い、そして端午の節供の柏餅やちまきには男の子の成長と厄除けへの思いが託されています。この他にも、節分の恵方巻きやお盆の精進料理、十五夜のお月見団子など、一年を通してさまざまな行事食が私たちの暮らしを彩ります。



こうした行事食が生まれた背景には古くからの日本の風習があり、一つは神様をお迎えする特別な日(ハレの日)に神様と同じものを食べてご加護を得ようとしたこと。もう一つは、季節の変わり目に体調を崩さないよう旬の食材を用いた栄養のある食事で、健康を願ったことが挙げられます。使われる食材や作り方にも意味があり、地域によって特色が見られる点も行事食の奥深い魅力。忙しい現代に工夫して取り入れることで、季節や文化を感じ、家族や地域との絆を深めるなど、暮らしに潤いと彩りをもたらしてくれます。
